- 薬剤師として専門性を高めたい
- 年収を上げたい
- 薬剤師として転職や独立も視野に入れたい
近年、薬剤師の活躍の場が広がる一方で、スキルやキャリアの差が収入やポジションに大きく影響するようになってきました。現場でも、「認定資格を取得してキャリアの幅を広げたい」と考える方が増えています。
そこでこの記事では、薬剤師のスキルアップや年収アップに役立つ「おすすめの認定資格10選」をご紹介します。
今の働き方にモヤモヤしている方や、キャリアの軸を見つけたい方はぜひ参考にしてみてください。

薬剤師におすすめの認定資格10選

薬剤師がスキルアップやキャリアの幅を広げるなら、認定資格の取得は非常に有効です。
ここでは、実務に役立つものから転職や独立に有利なものまで、厳選した10資格をご紹介します。
感染制御認定薬剤師
感染制御認定薬剤師は、病院や施設で院内感染を防ぐために働く薬剤師の資格です。
抗菌薬の使い方を確認したり、感染対策チーム(ICT)や抗菌薬の使い方を見直すチーム(AST)として、医師や看護師と協力しながら患者さんの安全を守ります。
特に新型コロナウイルスの流行をきっかけに、感染管理の大切さがあらためて注目されるようになりました。
感染制御認定薬剤師としての専門性が評価されることで、現場での信頼性が高まり、転職やキャリアアップの場面にも有利です。
また、感染対策に力を入れている医療機関では、診療報酬に関わる加算が認められる場合もあります。
感染制御認定薬剤師の取得には、薬剤師としての実務経験や感染対策への関わりが必要で、講習や申請にかかる費用は全体で数万円ほどが目安です。
実際に感染制御認定薬剤師として活躍している薬剤師は「医師と抗菌薬の使い方を相談したり、病棟での感染予防について説明する機会が増えて仕事の幅が広がった」と話していました。
チーム医療に関心があり、臨床の現場でもっと活躍したい人にぴったりの資格です。
がん薬物療法認定薬剤師
がん薬物療法認定薬剤師は、抗がん薬の効果や副作用を理解した上で、患者にとって安全で効果的ながん治療を支える専門資格です。
医師や看護師と協力して治療方針を考えたり、副作用の様子をみながら薬を調整していきます。がんに関する知識と経験がある薬剤師は、チーム医療の中でも信頼される存在です。
資格を取得すると現場で役立つ場面が多く、実際に資格を活かせている感覚を得られる点が大きな強みです。資格の取得には、薬剤師としての実務経験に加え、がん治療に関わった実績などが求められます。
指定された研修を受講し、受講や申請には合計で20〜30万円ほどに。実際の現場では、副作用への対応や薬の使い方に関する相談を受ける機会もあります。
患者さんからは、「治療を続けやすくなった」と感謝されることもあり、がん治療に深く関わりたい薬剤師の方にぴったりの資格です。
緩和薬物療法認定薬剤師
緩和薬物療法認定薬剤師は、がんや慢性疾患の終末期などに見られる身体的・精神的なつらさを薬物を通じてサポートする資格です。
痛みや吐き気、不安などの症状を薬でコントロールし、患者や家族が少しでも穏やかに過ごせるように支えます。
緩和ケアの分野では薬の調整や投与の工夫がとても重要です。特にがん治療の現場などでは、専門知識をもつ薬剤師の存在が医師や看護師から頼りにされます。
そのため、医療チームにもたらす貢献度や患者さんの安心につながる関わりができるため、やりがいを感じやすい資格。
資格取得には日本緩和医療薬学会の会員であることが前提で、認定に必要な審査料や試験料がそれぞれ数万円かかります。
さらに、指定の講習や学会発表、症例報告など臨床と学術、両面での経験が求められます。実際に資格を持つ薬剤師は「薬によって痛みをコントロールできることへのやりがいを感じる」と話していました。
がん治療や在宅医療に関心があり、患者に寄り添った支援をしたい薬剤師にぴったりの資格です。
研修認定薬剤師
研修認定薬剤師とは、薬剤師が自分の専門知識をアップデートするために、研修を続けた証として得られる資格です。
かかりつけ薬剤師の条件になることもあり、信頼される薬剤師として評価されるケースが増えています。
資格の取得には対象となる研修を受講し、単位を取得する必要があります。
- 新規取得の場合:4年以内に40単位
- 更新の場合:3年間で30単位かつ、毎年5単位以上
費用はおよそ研修受講料や申請手続きなどを合わせて20万円ほどです。
実際に資格を取得した薬剤師の中には「毎日コツコツ研修を受けていたら自然と単位が貯まっていた」と話す人もいます。
- 学びを形として残したい
- 無理なく認定資格を取得したい
このように自分の学びをみえる形で積み重ねたいと思っている方にぴったりの資格です。
小児薬物療法認定薬剤師
小児薬物療法認定薬剤師は、子どもの病気に合わせた薬の使い方を考え、情報をチームで共有する資格です。保護者にも薬の説明ができるため、安心感を持った存在として医療チームに信頼される薬剤師になれます。
資格の取得には病院や診療所などでの実務経験が3年以上必要です。
さらに、日本薬剤師研修センターが実施する研修会を修了し、試験への合格が必須となります。
資格取得者からは「保護者に安心してもらえる説明力が身についた」「自信をもって子どもに薬を提供できるようになった」といった声がきかれています。
薬剤師として小児医療に深く関わりたいと思っている方におすすめの資格です。
漢方・生薬認定薬剤師
漢方・生薬認定薬剤師は、漢方薬や生薬に精通し、患者や医療チームに安心して説明できる薬剤師を認定する資格です。
勤務歴や論文実績が不要なため、小さな薬局やドラッグストアの薬剤師でも挑戦しやすいという特徴があります。
取得には、日本薬剤師研修センターと日本生薬学会が主催する研修会を受講し、薬用植物園での実習が必要です。研修費用は6万円程度で、申請時には2万2千円の審査料がかかります。
実際に資格を取得した薬剤師からは、「西洋薬では対処が難しい体の症状に漢方の知識が役に立った」という声が多くきかれました。
小さな薬局やドラッグストアでも、相談件数が増え、かかりつけとして信頼される存在になれるのも魅力です。資格取得を通じて学んだ知識を、普段の業務でも活かせる点が漢方・生薬認定薬剤師の大きな強みと言えるでしょう。
プライマリ・ケア認定薬剤師
プライマリ・ケア認定薬剤師は、地域医療の最前線で、「なんでも相談できる薬剤師」として活躍できる資格です。
取得には、日本プライマリ・ケア連合学会に研修開始届を提出し、学会や実習などで単位を取得する必要があります。
プライマリ・ケア認定薬剤師になるための費用は、新規取得で審査料と登録料がそれぞれ10,000円〜15,000円程度です。
資格を取得した薬剤師からは、「学会や研修を通じて医師や看護師との繋がりができた」「在宅医療に詳しくなった」といった声がきかれています。
プライマリ・ケア認定薬剤師は地域医療に関心がある薬剤師にとって、専門性を示しつつ信頼を築く上で有効な資格と言えるでしょう。
公認スポーツファーマシスト
公認スポーツファーマシストは、アンチ・ドーピング規則やスポーツ薬理学に精通し、スポーツに関わる人へ適切なアドバイスができる専門資格です。
2010年以降、年々取得者が増えており、2025年4月現在で約13,000人が取得しています。
資格取得の流れは以下の通りです。
- 基礎講習の受講
- 実務講習の受講
- 知識到達度確認試験への合格
資格を取得した薬剤師からは「学校やスポーツ団体での啓発活動に携われる」「患者以外の人にも薬の安全性を伝えられる」と言った声がきかれています。
薬剤師の資格をスポーツ分野で活かしたいと思っている方には公認スポーツファーマシストがぴったりの資格と言えるでしょう。
在宅療養支援認定薬剤師
在宅療養支援認定薬剤師は、自宅療養を支える医療チームの中で「薬の専門家」として活躍できる認定資格です。
在宅医療の現場では、医師や看護師、ケアマネージャーなどと連携しながら薬の管理や、療養生活を支える役割が期待されます。
資格取得には薬剤師資格を3年以上保有し、認定薬剤師資格を持っていることが前提条件です。
その上で以下の条件を満たす必要があります。
- 研修講座で40単位以上の取得
- バイタルサイン講習への参加
- 学術大会への参加
- 在宅業務5例の事例報告
- 筆記・面接試験
実際に資格を取得した薬剤師は、「患者だけでなく家族ともじっくり向き合うことでやりがいを感じる」「在宅医療に関わって仕事の幅が広がった」といった声がきかれています。
在宅医療に携わりながら薬剤師の専門性を活かしたい方におすすめできる専門資格です。
腎臓病薬物療法認定薬剤師
腎臓病薬物療法認定薬剤師は、慢性腎不全や人工透析、腎移植、急性腎障害といった腎臓の病気において安全で効果的な薬の使い方を提供できる薬剤師を認定する資格です。
資格を取得にあたっては以下の条件を満たす必要があります。
- 薬剤師として5年以上の実務経験があり、直近2年間はフルタイムで勤務している
- 日本腎臓病薬物療法学会に3年以上続けて所属している
- 直近3年間で、学会の研修を12単位以上取得している
- 全国レベルの学会で腎臓病の薬物に関する発表を過去10年で3回以上行っている
- 自分で携わった症例30例を直近5年間で提出している
これらを満たした上で、書類審査と筆記試験に合格すると資格を取得できます。
条件が多くハードルは高いですが「腎臓病に深く関わりたい」「研修や研修内容を形にしたい」と考える薬剤師にはとても価値のある資格になります。
実際に資格を取得した薬剤師は「腎臓領域の自信につながった」「学会での発表で大きく成長できた」といった声がきかれています。
薬剤師が資格を取得するメリット
薬剤師が認定資格を取得することには、さまざまなメリットがあります。
以下では、薬剤師が認定資格を取得するメリットを3つご紹介します。
得意分野を伸ばせる
認定資格を取得すると自分の得意分野を伸ばし、自信を持って働けるようになります。
専門分野に特化した学びを続けることで、医師や看護師から「この分野なら任せられる」と信頼されるようになるのです。
実際にがん・緩和ケア・小児・在宅など、専門分野に特化した資格を持った薬剤師は調剤や服薬指導で根拠を持って説明できるようになります。
その結果、患者さんからも「説明がわかりやすい」と評価され頼られる場面が増えていきます。
認定資格を取得し、得意分野を深めることは薬剤師としての自信にもつながる大きなメリットです。
病院や薬局以外でも活躍できる
認定資格を取得すると、病院や薬局以外でも活躍できるようになります。
認定資格の取得によって在宅医療や介護の現場、スポーツや産業医療の分野など、さまざまな分野で求められるからです。
特に地域医療や在宅医療では、認定資格を持つ薬剤師がチーム医療の一員として期待されるようになります。
「医師や看護師との連携が増えた」
「地域で顔を覚えてもらえるようになった」
実際に認定資格を取得した薬剤師からはこのような声も寄せられています。
今の職場にとどまらず、仕事の可能性を広げたい方にとって認定資格の取得は大きな魅力です。
転職やキャリアアップで有利になる
認定資格を持っていると転職時や、新しい職場での評価が高まります。
資格があることで専門性が評価され、信頼につながるからです。
求人の中には「認定薬剤師が好ましい」と書かれているものがあり、選ばれるチャンスが広がります。
また、かかりつけ薬剤師の条件に含まれる資格もあるため、持っているだけで信頼につながるのです。
資格を取得した薬剤師からは次のような声も上がっています。
「求人の幅が広がった」
「面接で専門性をアピールできた」
このように転職やキャリアアップを目指す薬剤師にとって認定資格は大きな後押しになります。
薬剤師が資格を取得するデメリット
薬剤師の認定資格取得には多くのメリットがありますが、同時に注意しておきたいデメリットも存在します。
ここでは、認定資格を取得するデメリットを紹介します。
資格取得には数万円から数十万円の費用がかかる
資格を取得するには、研修や受講料、試験料、登録料などさまざまなお金がかかります。
1つの資格を取得するだけでも数万円から数十万円かかることが多く、複数の資格取得を目指すと負担はさらに大きくなります。
加えて、更新のたびに受講料や更新料がかかる資格も少なくありません。
薬剤師の方からは次のような声が上がっています。
- 受講料が高くて取得するか迷った
- 交通量や宿泊費を含めると想像以上に出費があった
自己負担で資格取得する場合、合計でいくらになるのか事前に確認しておくことが大切です。
勉強や実務で多くの時間が必要になる
認定資格を取るには、学会や研修会、実務の症例報告に多くの時間を使うことになります。
実際に資格取得を目指した薬剤師からは以下のような声がきかれています。
- 仕事が終わってから勉強している
- 休日が研修でなくなることが多い
このように仕事と両立しながら資格取得を目指すのは簡単なことではありません。
しかし、早めの学習計画や無理のないスケジュールを組むことで続けやすくなります。
最近では通信研修やオンライン学習も増えているため、上手に活用して効率的に勉強しましょう。
更新に研修や単位取得の手間がかかる
薬剤師の認定資格は取得して終わりではありません。
資格取得後は数年ごとに更新があり、そのたびに研修を受けたり、単位を集めたりする必要があります。
更新の条件には「学会への参加」や「症例報告の提出」が含まれることもあり、忙しい中で計画的に取り組む必要があります。
実際、「資格取得よりも、更新や単位取得の方が大変」といった声もきかれています。
更新の手間を考えると、資格を取る前に「長く続けられるかどうか」をしっかり見極めておくことが大切です。
まとめ:自分に合った認定資格を取得してステップアップしよう
この記事では、薬剤師におすすめの認定資格10選をご紹介しました。
認定資格を取ることでキャリアアップや専門性の強化などさまざまなメリットがあります。
ただし、費用や時間負担、更新の手間といったデメリットがあることも事実。だからこそ、自分の興味がある分野や働き方に合った資格を選ぶことが大切です。
小さな一歩でも資格取得に向けて動き出せば、薬剤師としての未来は大きく広がります。

